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海外のカード事情

欧州の非接触型決済サービス事情

日本では誰もが当たり前に利用している非接触決済サービスですが、海外に行くと日本とは全く事情が異なります。先月、筆者が欧州に出かけた際に得たインプットから技術的な視点を元に皆様にわかりやすい形でご紹介します。

世界標準のNFCを採用

日本は世界に先駆けて電子マネーが普及しています。例えば、電車に乗る際には「Suica」を、買い物には「Edy」や「nanaco」、「WAON」など様々な電子マネーサービスが利用できます。ここで紹介した電子マネーを含め、日本国内で提供されている多くの電子マネーは、ソニーが開発した「FeliCa(フェリカ)」という規格を採用しています。一方で、世界に目を向けてみると、「TypeA」と「TypeB」という規格が普及しています。

TypeAはオランダの「フィリップス」が開発した「Mifare(マイフェア)」という規格です。欧州地域で交通系ICカードとして、後述するクレジットカードの非接触型電子マネーとして最も使われています。一方、TypeBは米国の無線機器メーカーである「モトローラ」が開発した非接触ICの規格で、日本では住民基本台帳カードや運転免許証、パスポートなどに採用されています。

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この様に、世界には非接触ICの規格が多く乱立する状態で規格を標準化して相互性を実現するために、「NFC(Near Field Communication)」と呼ばれる国際標準規格が定められ、TypeAとTypeBに加え、日本で普及しているFeliCaを包括した規格として展開されています。ただ、FeliCaは独自のセキュリティ機能などにより現状として相互利用できない状況です。

欧州では「TypeA」の利用率が高いこともあり、それを包括する形でNFCが主流になっています。

カード会社が主導で非接触決済サービスを提供

欧州では、クレジットカード会社が主導で非接触型決済サービスを提供する動きが見られます。VISAカードからは「VISA payWave」を、MasterCardからは「PayPass」というサービスを提供しています。これらは欧州のみならず、世界的に利用可能な非接触型の決済サービスとして、クレジットカード本体、もしくは、NFCを搭載したスマートフォンで利用できることを目標にサービス展開が進められています。

欧州でも、クレジットカードの加入者を増やそうと各所でPRを行う、広告を展開するなどしていますが、個々近年発行されるクレジットカードの多くは、これらの非接触決済サービスを予め搭載したものが多くなっています。

日本の場合は、鉄道会社や携帯電話キャリア、流通会社、クレジット会社など多くの会社から非接触型決済サービスが提供されていることでサービスが乱立している状態となっています。

ただし、日本国内でも三井住友カードとオリコカード、ジャックスカードから「VISA payWave」を、NTTドコモが自社の「iD」と「PayPass」を組み合わせた「iD/PayPass」を提供しています。日本でも国際的な非接触型決済サービスが広がりつつある状況を考えると、NFC規格への対応による従来のFeliCa端末からの置換えや、非接触型決済サービスの統廃合が行われることが考えられます。

携帯電話による非接触決済はこれから

日本国内では携帯電話に「おサイフケータイ」機能を搭載した端末が多く普及していますが、FeliCaチップを携帯電話機本体に埋め込むことで、携帯電話による決済を実現したものになります。

一方で、欧州地域の場合はカード決済が普及していることや国際的な通信規格であるGSMを採用した携帯電話が利用されていましたが、当時、非接触型ICの国際規格が定まってなかったこともあり、非接触型ICチップを携帯電話機に搭載するという動きはありませんでした。

しかし、日本のみならず欧州でもスマートフォンが普及しており、GoogleやAppleがNFCを利用した決済サービスをリリースするなど、市場にもNFCを搭載したスマートフォンが出回っていることや、クレジットカード会社による非接触決済サービスの展開が増えていることにより、欧州地域でも携帯電話による非接触決済が普及する可能性が考えられます。

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